Last Kitten Heart experiment

夏実:今日も雨だね。

由樹:そんなに降ってない気がする。

ナナ:気のせいじゃない?

陽介:そうだよ。あれだよ、きっと。

由樹:あれってなに?

留恵:疲れているんじゃない?

由樹:そうかな?そうは思わないけど…。

夏実:でも、知っている?雨って涙だって。

由樹:………なにが?

夏実:雨が…。

由樹:………どうして?

夏実:小さい頃、見た絵本にそう書いてあったの。

由樹:作り話だったのね。

陽介:でも、そうとは限らないよ。

ナナ:現実かどうかなんてわかんないよ。

留恵:そうだね。確かそれって『夏の王様』って出てくるんだよね。

夏実:…よく覚えてないからわからない。

由樹:クマは?

夏実:出てこない。

由樹:それは、はっきり覚えているんだね。

留恵:私もどこかで見たことがあるけど、覚えてない。

由樹:二人とも気のせいじゃない?

留恵:信じてないからそういうこと言うんだ。

由樹:そういうつもりはないけど。

ナナ:由樹ちゃんって夢ってないの?

由樹:お金がほしい。

陽介:お金って…欲深い。

留恵:こういう言葉があるって知っている?『創造主は創造物に支配される』って。

由樹:誰の言葉?

留恵:わたし。

由樹:なるほどね、だから知らないんだ。

陽介:お金は人によって作り出された。

ナナ:そして、人はお金に支配された。

留恵:要は、そういうこと。

由樹:じゃあどうすればいいの?

ナナ:お金っていうのが悪い。

陽介:それじゃあ、鐘がほしいってすれば?

由樹:持ってどうする?

陽介:自慢できる!

由樹:できない。

夏実:由樹ちゃんってすごいね。

由樹:だから、鐘は持ってない。なんでそういう話になるの?

ナナ:夢が『お金がほしい』って言った自分が悪い。

由樹:じゃあ、みんなの夢って何?

ナナ:昨晩は空を飛んだかな。

由樹:そっちの夢じゃないでしょ?

夏実:私も空を飛んでみたいな。

由樹:それは昨日の夢じゃないよね。

留恵:でも、空を飛びたいっていい夢かもね。

陽介:非現実的でいいね。誰かと違って。

由樹:悪かったね。

ナナ:がんばればできる!

陽介:みんなで飛ぼう。

由樹:どこへ?

陽介:あっち。

由樹:なーんだ、そっちか。

留恵:結局ナナちゃんの夢ってなに?

ナナ:もちろん世界征服!

由樹:…私と変わらないじゃん。

留恵:いや、内容によってはそうかもしれないけど。

夏実:ところでなに?

ナナ:もちろん世界征服!

由樹:…なんにも考えてないでしょ?

ナナ:うん!

由樹:…やっぱり。

ナナ:だけど由樹ちゃんみたいに欲望たっぷりの夢とは違う。

由樹:悪かったね。

留恵:ナナちゃん、どうせ世界征服するなら平和のために!

夏実:世界征服するならみんなの思いのために!

陽介:そして、希望のために!

ナナ:おし!みんなわかった、ついでに制服も征服する。

由樹:それ、ダジャレじゃん。

留恵:そういえば、陽ちゃんはなに?

陽介:旅がしたい。

由樹:一人行けば。

陽介:一緒に行こうって言ってない。

由樹:悪かったね。

ナナ:絶対さっきのことですねているんだ。

由樹:べつに…そんなんじゃない。

夏実:でも、遠くに行くっていいよね。

留恵:行くとしたら海だね。

由樹:えー。温泉でしょ。

ナナ:温泉?

陽介:せめて山でしょ。

夏実:私、泳げないから山がいい。

留恵:浮き輪でプカプカ浮かんでいるだけでも楽しいよ。

由樹:そうかな?

留恵:なぜお前が答える。

由樹:悪かったね。

陽介:砂遊びをするっていうこともできる。

留恵:海はプールと違うからいろいろできるよ。

夏実:そうだよね、海もいいよね。

由樹:ところで行く計画なの?

留恵:そんなお金ない。

由樹:そうだよね。

留恵:もし、このメンバーで海に行ったら、まず由樹ちゃんを首から下を埋める。

ナナ:そして、その横にスイカを置く。

由樹:危ないじゃん。

陽介:スイカを置くだけだったら危なくないと思うけど。

由樹:スイカ割りをしようって言わなければね。

夏実:もし山だったら。

留恵:やっぱり電車でしょ。

陽介:海外は?世界一周の旅って行ってみたいけど。

留恵:それもいいよね、違う国に行くって。

ナナ:今なら避暑地とか。

陽介:北極とかは?

由樹:それは違うぞ。

夏実:じゃあ南極。

由樹:だから、寒いって。

留恵:確かに暑くはないけど。

ナナ:みんないろんな夢があるというわけです。

留恵:でも、小さい頃見た夢ってかなうのかな?

陽介:でもそれはやってみないとわからないよ。

夏実:がんばればできるかもしれないよ。

留恵:そうだよね。誰かさんの欲望の夢は別として。

由樹:悪かったね、もうそういうことは言わないし、考えない、見向きもしない。

留恵:そう?そこに百円玉が落ちている。

由樹:え!どこ?