Last Kitten Heart precious

夏実:ついに来たね。

留恵:さあ、助けに来てあげたよ。

社長:はは、おもしろいヤツが来た。

留恵:私たちは出オチのお笑い芸人か。

ナナ:あれ?ここ違うの?

留恵:どうも違う部屋に来ちゃったみたいだね。

陽介:あの笑いこけているオッサン誰?

夏実:…そういえば、入り口に“社長室”って。

ナナ:言われてみれば部屋の作りが豪華。

留恵:まさか、こいつが中央政府ホールディングスの社長…。

陽介:一番関わりたくなかった。

夏実:…ってことはこの国の王様みたいなもの?

ナナ:そうみたいだね。

留恵:不幸中の幸いって言うか、キノコ食べたみたいだね。

夏実:どうするの?

留恵:由樹ちゃんがどこにいるか聞いてくる。

陽介:だいじょうぶ?

留恵:ヘーキだって。

ナナ:悪い方向にならなきゃいいけど。

留恵:ねえ、あんたが中央政府ホールディングスの社長?

社長:ぶはは、そうだけど。

留恵:それで、由樹…私たちと一緒にいた男だか女だか分かんないヤツ知らない?

社長:がはは、お前おもしろい!

留恵:私なんかおもしろいこと言った?

ナナ:特に言ってないよ。

留恵:ねえ!キャーキャーうるさい10才くらいのもみあげが変に長い子。

夏実:あれ、もみあげなの?頭のてっぺんから生えていると思ってた。

留恵:夏実ちゃん、その論議はあとにしよう。

陽介:助けたら本人に聞こう。

留恵:だから、ちょっと頭のおかしい子知らない?

ナナ:留恵ちゃん、言い過ぎ。

社長:あはは、お前おもしろい顔してる!

留恵:!!!

陽介:あ…。

留恵:夏実ちゃん、さっきの洗面器貸して!

夏実:い、いいけど。

留恵:それとそこの花ビンとって!

陽介:これでどうする気。

留恵:花ビンの水を洗面器の移すでしょ。けっこう水あったね。良かった。

ナナ:何が良かったの?

社長:だはは、おもしろい顔のヤツがおもしろいことしてる!

留恵:そしてこいつの顔を突っ込む!!!

社長:ぶくぶく…。

留恵:ねえ…由樹ちゃん知らない?

ナナ:…声が低い。

社長:ゲホ、ゲホ。き、貴様この会社の子会社には最高裁判所があって…ぶくぶく。

留恵:それで?

社長:ゲホ、ゲホ。そこで貴様ら全員を有罪に…ぶくぶく。

留恵:ごめーん。手がすべっちゃった。えへっ。

ナナ:留恵ちゃんにはみられない、かわいこぶりさ。

留恵:で、由樹ちゃんどこ?

社長:ゲホ、ゲホ。ち、地下の部屋に…ぶくぶく。

留恵:あと、私たち5人を見逃して。

社長:ゲホ、ゲホ。たっぷり税金を納めたら…ぶくぶく。

留恵:ヤダー。私ったら逆に思い切り力入れちゃった。

社長:ゲホ、ゲホ。その………ぶはあ、おもしろい顔…ぶくぶく。

留恵:今なんて言った!え?!


留恵:あー!憎たらしい。あのジジイ。

陽介:仕方ないよ、ハッピー☆マッシュルームで笑わずにはいられなくなるんだし。

ナナ:本音で笑っている訳じゃないし。

留恵:それでもムカつく。

陽介:る、留恵ちゃんって美人だと思うよ。スタイルもいいし。ねえ?

ナナ:そうだよ。

夏実:私も留恵ちゃんには憧れちゃう。

留恵:お世辞ありがとう。

夏実:本当なのに…。

留恵:なぐさめ、ありがとう。

ナナ:気にしているの?

留恵:別に…。

陽介:留恵ちゃん、何してるの?

留恵:あのジジイ、髪の毛が油っぽい!

ナナ:だからウェットティッシュで拭いているの?

留恵:そのあとは除菌スプレーしておこう。

陽介:そんなに嫌だったら途中で止めたら良かったのに。

留恵:気が済むまでやりたかったの。

ナナ:あれって水責めじゃない。

留恵:そうだよ。

ナナ:ああなるまでやるなんで、ひどすぎだと思うけど。

留恵:由樹ちゃんの居場所は今度こそ分かったし、私たちは無罪放免。

陽介:そこまで吐かせるまで時間かかったね。

留恵:どのくらいまでやったかは…ヒミツ。

夏実:この地下部屋に由樹ちゃんがいるんだね。

留恵:さあ、由樹ちゃん助けに来てあげたよ。

由樹:…ありがとう。

夏実:今、カギ開けてあげるね。

ナナ:よかった、元気そうで。

夏実:あ、開いたよ。

陽介:どうしたの?その首輪。

由樹:………。

留恵:わたった。戌年だからコスプレ?

由樹:ちがーう!呼吸税とるからそのメーターなの!

陽介:やっぱりあるんだ。呼吸税。

由樹:何、感心しているの!

夏実:ホントに元気でよかった。

留恵:取ってあげる。カギもらってきたし。

ナナ:ほぼ、おどしで奪ったんだけどね。

留恵:取れた。じゃあ、みんな一緒に帰ろう。

由樹:…みんなとは帰らない。

留恵:どうしたの?急に。

由樹:…私を置き去りにしたでしょ。

留恵:まあ、結果的にはそうなったね。

由樹:私なんかどうでもいいからそうしたんでしょ?

留恵:だって、あの状況下ではそうするしか助ける方法思いつかなかったし…。

由樹:私だから置き去りにしたんでしょ?

留恵:ちゃんと…ほら、こうやって助けに来てあげたし。

由樹:じゃあ聞くけど、夏実ちゃんでも置き去りにした?

留恵:………えっと。その時はその時だよ。

由樹:夏実ちゃんだったらするつもりないでしょ!

留恵:由樹ちゃんだったら大丈夫かなーって。

由樹:私のこと、仲間だと思ってる?

留恵:仲間じゃないと思ってたらホントに置き去りにして帰ったよ。

由樹:私のこと、イジめたりからかったり、本当にそう思ってる?

留恵:ちょっとふざけてるだけでしょ。

由樹:留恵ちゃんなんか嫌い!

留恵:それで気が済んだ?

由樹:みんなだけで帰ればいいでしょ!

留恵:あんまりワガママ言うんじゃないの!

由樹:ほっといて帰ればいいでしょ!

留恵:ああ!もう知らない!好きにすればいいでしょ!

由樹:そうするよ!

留恵:由樹ちゃんなんか仲間じゃない!

ナナ:ちょっと留恵ちゃん、それは…

留恵:黙ってて。一回ちゃんと決着つけないと。

陽介:由樹ちゃん。留恵ちゃん、ちょっと機嫌が悪いから。

由樹:そんなの知らないよ!

留恵:分かったよ。由樹ちゃんの好きにしていいよ。

由樹:そうするよ。

留恵:ただ、私たちと一緒にいたことのほうが楽しかったと思うなら戻ってきて。…じゃあね。

夏実:由樹ちゃん…。

由樹:………。


妖精:このトンネルをくぐれば、貴様らのいた世界に戻れます。ぶふふ…。

夏実:よかった。

妖精:まさか、あのジジイを倒すなんて。あはは…。

留恵:この妖精もなんか笑われている気がしてムカつく。

陽介:留恵ちゃんがハッピー☆マッシュルーム無理矢理食べさすからでしょ。

留恵:だってね、話だけだと信じられないから実験台になってもらおうかと。

ナナ:おかげでよく分かったけど。

留恵:あと二日は笑い続けるらしいね。

妖精:おかげてこの国もよくなります。ぐふふ…。

留恵:私たちはなんにもしてないよ。倒したわけでもないし。

妖精:反省してくれたらなんですけどね。だはは…。

留恵:そろそろ行こうか。

妖精:あと、この手紙読んでいってください。むふふ…。

留恵:笑っているせいかなんか怪しい。

妖精:ほんのお礼の気持ちです。うふふ…。

夏実:由樹ちゃん、こないね。

留恵:夏実ちゃん。ここは由樹ちゃんの好きにさせておこう。

夏実:うーん…。


信じられる仲間がいることは大切なことです。
でも、そのきずなは崩れやすいものでもあり、壊れにくいものだと思います。


Last Kitten Heart precious END