Last Kitten Heart encounter

菜の花王国の城の広い廊下

留恵:妖精同士だから不思議じゃないけど。どんなご関係で。

ハノ:ミポは私の妹なんですよ。

留恵:いもうと…?

留恵はきょとんとした。

ミポ:兄です。

留恵:いや、それは分かる。

ミポ:私たち、三人兄弟なんです。一番上がお姉さま。


ハノ:全ての経緯をお話ししましょ。菜の花王国は平和な国で気候が安定して過ごしやすい国だったんですが、7年前によそからの侵略者にやられたんです。この国の兵たちによって抑えきれたのですが、犠牲があまりにも大きすぎた。

陽介:それって、まさか…

ハノ:先代の国王と王妃が巻き込まれたのです。

由樹:でも、先代の国王って病死だったんじゃ…。

ハノ:表向きは。この襲撃事件すら公にされなかったわけですから。唯一生き残ったのが現王女のみとなります。

短い深呼吸を何度か繰り返して、

ハノ:しかし、惨殺現場をみた王女のショックは大きく、それ以来ひとを信用しなくなりました。それにより側近は親類が一切いないものに限定された。

ミポ:そういう話が出たとき、兄は王女と仲がよかったので、職に留まるためにも、私たち兄弟との関係を隠した。

陽介:だから、ミポの家には部屋が3つあったんだ。

ハノ:事件以降も信用してくださった王女には悪いと思っていましたが、国のためでした。王女の暴走と止められる数少ない存在でしたので。事実、鎖国しようという案もありました。

ナナ:鎖国?

ハノ:観光がこの国の産業なので止めました。しかし、襲撃者が出入りやすい環境も問題がある。そこで出た案が『ファイナル!ハッピー★マッシュルーム大繁殖計画』

ミポ:ファイナル!ハッピー★マッシュルームは北の谷底のみ自生しているですよ。

ハノ:北の谷底からはキノコの胞子は滅多に谷から出なく生息地域もそこに留まっていたものを、国中に繁殖させたのです。

留恵:キノコまいても効果あるの?

ハノ:猛毒ガスまみれの国を襲う気になりますか?奪ってもガスマスク生活だし。

留恵:でも、不思議に思っていたんだけど、王女とかはガスマスクしていないのなぜ?

ハノ:ガスマスクしているのは住民だけです。王女以下関係者は宮殿に設置してある浄化装置を使っているので、2、3日吸ったくらいだったら平気なのです。

留恵:そんな…。

ミポ:こんな国ですが、この生活にも慣れていきましたし、元々この国が好きですし。

ハノ:変わらないのは王女だけです。追いかけていったあの子、どう王女と接するのだろうか。


菜の花王国の城の最上階

夏実:ここかな?

少しだけ開いているドアを開けて中に入る。

王女:誰が入っていいって言った?

夏実:ごめん。入ってもいい?

王女:もう入っているじゃない。

夏実:ごめんね…。

部屋の一角に目をやる夏実

夏実:あ、かわいいぬいぐるみ。

王女:触らないでくれる!

夏実:ごめん…。

王女:そして出ていって。

夏実:でも…ね、………ごめん。

王女:さっきから謝ってばかりだよね。

夏実:………ごめんね。

王女:もういいよ。勝手に部屋に入ってきたことも、あなたが私に言ってきたことも。

一瞬ほほえんだように見えた王女は、窓の方へ歩く。

王女:こっちに来て。

夏実:え?何?

王女:この前ね、『いいこと教えてあげる』って言ったでしょ。それがこれ。

夏実:すごいきれい…。

王女:この景色を見られるところはここが唯一。

宮殿の最上階から見る、菜の花畑はきれいだった。

王女:いつも、この景色を見ると、独りでもいやされた。

夏実:話し相手っているのでしょ?

王女:ハノっていう妖精。あなた達が一緒にいた妖精のお兄さん。

夏実:そういえば、さっき会ったような…。ミポのお兄さんだったんだ。

王女:私の側近は家族身寄りがいる人はなれない条件で、ハノは兄弟がいることを隠していたけど、本当は私も知っていた。

夏実:どうして、『家族身寄りがいない人だけ』なの?

王女:そのことは聞かない方がいい。傷つくだけだから。

夏実:それでも、聞きたい。せっかく仲良くなれそうなのに。

王女:…気が向いたら話す。

夏実:うん。わかった。

王女:あなたが最初だよ。国の関係者以外で、この部屋に入ったの。………そして、最初の友達。

夏実はにこやかな笑顔を見せた。