Last Kitten Heart friends

「大丈夫だって。みんな優しい人ばっかりだし」
 夏実は不安がるなのかに声をかける。年下にこんなことを言われる自分が情けない気がするが、その言葉はなのかを楽にさせるものではなかった。
 最近、夏実ちゃんを介してみんなと知り合った。顔合わせはしているとはいえ、どう見ても留恵は凶暴そうだし、男の子と仲良くなれる自信がないし。
 まるで、ネコ科の猛獣ばかりを集めた小屋の中に、一匹の猫を入れさせられた気持ちだった。でも、不安な気分を癒やしてくれる夏実の笑顔には助けられた。
「私、夏実ちゃんに出会えてよかった」
 前を行く夏実に向かって叫んだ。

 

 ***   ***

 

 五つの地区に分かれたうちのひとつ、東地区。なのかが最近まで居たところだ。
 それぞれの地区は離れているが交流はある。中央地区が商業の盛んなところに対し、東地区は工業が主流だった。東地区民の気性は荒く、なのかには合わなかった。
 数ヶ月前、引っ越すことを決意するのだが、もう一つ原因があった。
 それは裏で暗躍していた集団の存在だった。被害を受けた人たちの中に、なのかも含まれていた。
 以前から脅威に感じ、襲われてからは毎日、毎日、外に出るのが怖かった。
 外に出なければいいんだと、引きこもるようになった。
 頑丈に護られた家の中では快適というべきほどの居心地の良さだった。
 しかし、何の解決策にもなかった。

 薄暗い部屋に閉じこもっているより、陽の当たる大草原を駆けてみたかった。
 農業地帯でどこまでも続く大地、広大な面積をもつ南地区。なのかは、ここに越してきた。
 南地区は年中気候が穏やかで、付随して人も温かだった。もちろん、例外的に留恵みたいな性格の人いる。でも、留恵も根は優しいと思う。でなければ、なのかを受け入れてくれなかったはず。

 なのかと夏実が出会ったのは黄色い畑の中。
 穀物、野菜、果物、何でも作っている南地区のひとつ、菜の花畑だった。
 この地に逃げ込んだなのかにとって、見ず知らずの土地は非常に不安だった。
 その中で差し伸べた夏実の手は、まるで先の見えない暗闇で差した太陽の光だった。