Last Kitten Heart friends

 ぬるま湯のシャワーが実に気持ちがよかった。
 汗を洗い流し、服を着替えて出てきた留恵。
「次は君の番」
 先ほどの毛むくじゃらの、あのボールをふろ場に連れて行く。
 ふろ場とつながっている洗面所に、たまたま入ってきた陽介に留恵が気付いた。
「あのさぁ、悪いんだけど二人で協力してサラダ作ってくれない?」
 “ボール”にシャンプーで入念に洗いながら話しかけた。
 愛想のない返事をし、洗面所のタオルを二枚取って、由樹を探しに行く。
「君はいい子だ。おとなしくて」
 ボールに優しく言葉をかける。

 陽介がリビングルームに戻ってくると、汗だくの由樹がじっと立っていた。
 ちょっと不気味な感じもしたが、由樹にタオルを投げつける。
「汗くらいふいたら?」
 残りの一枚で自分も汗をふく。
「それと、留恵ちゃんが『料理作るの手伝って』……だって」
「それで留恵ちゃんは?」
「あれにシャンプーしている」
 あのやろうと留恵への怒りをあらわにする一方、運動した疲れもにじませていた。
「そもそも、留恵に料理を任せて大丈夫なの。こういうのって、いつも夏実ちゃんじゃない」
「しょうがないよ、夏実ちゃんが迎えに行っちゃったし。留恵ちゃんも料理少しは出来るし」
 こういうことは留恵より夏実の方がうまい。特にお菓子作りとか。そのことは皆知っている。
 由樹にしてみれば不信感のある留恵より、安定感のある夏実に作って欲しかった。
 もう一つ気になるのが陽介の言動。何も考えていないのではないか。
 以前、夏実が連れてきた『なのか』っていう子。今日はその子を交えてミニパーティをやろうということになっている。
 その際、迎えに夏実が行き、ほかの三人で準備することになった。
 由樹は嫌がったが、多数決でこうなった。
 なにも夏実が行くこともないと思う。
 こうなった理由がある。それはなのかが夏実以外の人と打ち解けていないことだった。
 それは同い年同士のはずの留恵でさえそうだった。
 一人で来させればという由樹の提案も、一人じゃかわいそうという夏実と、面倒くさいことにかかわりたくない留恵、二人に同調する陽介。
 その時、由樹は陽介が言われるがままに返事をして、何も考えていないのではないか。
 もしかしたら、二人を信じてあげているだけかもしれない。

 なのかと、かかわることが増えていくんだろうな。
 接した時間がまだ短いだけに、なのかのことがよくわからない。
 でも、せっかく出会ったんだ、なのかに対して少しは信じてあげよう。
 もし、陽介が夏実と留恵を信じての言動みたいに。
 ただ、変なことに巻き込まれなければいいけど。

 由樹と陽介が野菜を流し台で洗っていると、その間を割って留恵が入ってきて肩を寄せる。
「さあ、がんばって料理を作ろう!」
 さっそく、巻き込まれた……。