Last Kitten Heart friends

 南地区に越してきて四週間がたった。
 家の中も少しは使いやすいように物を配置してきた。
 ワンルームだけど、アパートの一室を借りた。そこから見える大きな森がある。
 だれも手を加えていない自然の森が、なのかは気になっていた。
 入居初日に大家のおばさんにこう言われた。
「あの森には決して入るな。出られなくなる」
 実際、中に入ったきりで出てきていない事例もある。
 確かにごく普通の森ではない、何か特別なものを宿している感じは、なのかにもわかった。

 この神秘的な森を一日かけて外周をまわってみようと思った。
 しかし、広すぎて途中であきらめて引き返した。
 半分もまわることが出来なかったが、わかったことがある。
 まず、平地の中に森があること。
 歩いて目立った坂道がなかったことが、このことを裏付ける。
 もう一つは、どの場所から見ても中は薄暗い。
 中にはいったい何があるというのか、森の奥を伺い知ることはできない。
 だからといって出てこられない理由がわからない。

 更に大家のおばさんに言われたことがある。
「その森の近くに住んでいる子たちにはかかわらない方がいいよ」
 夏実たちのことだ。どうしてと聞き返した。
「変わり者たちの集まりだよ。最近は夜になるとコソコソと何かやっているみたいだけれどね。困った子たちだよ」
 パーティの時もそうだったが、悪いことをしているようには見えなかった。
 ただ、何かを隠していることだけは確かだった。

 ある夜のこと、彼女たちと今後どう付き合っていくべきか、ベットの上で悩んでいた。
 せっかく出会ったわけだし親交を深めていくべきか、忠告を聞くべきか。
 目をつむり考えていた。自分の気持ちは『親交を深めたい』方だった。
 私にはもう何もないのだから。
 軽くため息をつくと、上から何かが落ちてきて、ちょうどボディープレスを受けた感じだ。
 目を開けてみれば、あたりをキョロキョロと見渡す夏実だった。
 下敷きにされた私に気付いて大慌てでベットから降りた。
 無言のまま見つめ合った。
 そして、一言ごめんねと残して去っていった。
 ぬいぐるみか生き物かどちらかわからなかったが、何かを抱きかかえていた。
 後を追って外に出たが、もういなかった。
 だけど、窓も玄関ドアもカギをかけていたのに、どうやって中に入ったのだろう。
 大家さんがあんなことを言うのも無理がないかも……。