Last Kitten Heart friends

 逃げても、逃げても、追ってくる影。
 それは、時によって変える。
 なのかの場合、恐ろしい人物であったり、優美なチョウだったりする。
 逃げてばっかりじゃダメだというけど、逃げた結果、出会えるものもある。
 それが、幸運か不幸かは別として。

 チョウから逃れたなのかは、銅像の前に立っていた。
 園内には建物以外にも、前保有者が置いていったオブジェが点在している。
 そのひとつの、四メートルくらいある像を見上げていた。
 すると、後ろから気配を感じた。
 全身黒ずくめの男——鬼だ。
 なのかは木が密集している方へ、力いっぱい走った。
 開始して三十分以上経過。
 チョウを見て大声で叫べば、居場所を教えているようなものだ。
 死に物狂いで走ったのは、あの時以来だった。

 東地区中心街にある一室。街中の温度調節をしてくれる施設がある。
 ヒーターなどが立ち並び、非常に暑い。
 この部屋に幽閉されていたことがある。
 十数人が入れられていて、何人かはなのかの知っている人だった。
 食事は十分に出ず、弱者を中心に倒れていくのを見ていくしかなかった。
 密閉されていたこの部屋には、常に熱気と絶望感でいっぱいだった。
 その時の泣き叫び声が、今でも忘れられない。

 顔見知りの中に、占い師をしているおばあさんがいる。
「おばあさん、大丈夫?」
「ええ、何とかな」
 でも、その声は弱り切っていた。
 小さいころから良くしてもらっていたから、心配で仕方がなかった。
「ずっと、一緒だからね。だから、どこかに行かないで」
「ありがとう」と、うなずく。
 とはいえ、この状況どう打開するべきか。

 自分も倒れていくのも時間の問題だと悟ったころ、ヒーローが現れる。
 高い天井の所に大きな排気口があり、冷気と共に入ってきた。
 熱気と冷気が混ざり合い、辺りは深い霧になる。
 彼は私の手を引き、天井からつるされた縄はしごを登るよう指示される。
 私は言われたとおり登り、上の階につく。
 この施設、地下の奥深くにあり、地上に出るには五つのルートのどれかを通ることになる。
 冷気を送り込んだ管をたどるように誘導され、ひたすら階段を上がっていく。
 そこへ後ろから追っ手が大勢やってくる。
 数人の男たちに囲まれて上を目指すが、そのうちの一人が、
「絶対に後ろを振り返るな!」と、大声で言ってきた。
 背後から、銃声と叫び声が入り交じって聞こえてくる。
 怖くて、とても後ろなんて振り返られない。
 階段を上がりきると、土砂降りの東地区郊外に出た。
 降り続けていたらしく、土がぬかるんでいた。
 夜で照らすものがなく、真っ暗だった。
 外で待っていた男に導かれ、悲鳴を背にやみに紛れた。

 その後、南地区まで逃げてきて、そして今、鬼からも逃げ切った。