Last Kitten Heart friends

 鬼ごっこ大会より前のある日。
 なのかのためにパーティーを開いてくれた。
 そこの会場で留恵が突然、
「夏実ちゃん、あれってキッチンのどこにあるんだっけ?」
 と、大声で叫ぶ。
 きょとんとしている夏実を引っ張り、
「だから、あれ。……ちょっとついてきて」
 と、キッチンの奥へ連れて行く。
 強引に連れてこられてた夏実が、
「留恵ちゃん、あれって何?」
「それはどうでもいいよ」
 夏実は首をかしげる。
「夏実ちゃんさぁ、お願いだから『キャパ』のことは、なのかに言わないで」
「え? だってさっき話していたじゃない」
「夏実ちゃんが、なのかと話していたときでしょ。夏実ちゃんが聞いたらそうかもしれないけど、あれは聞き取られても言いように分かりづらく話したの。大会まで時間ないし、作戦を立てなきゃいけないし……」
 でもね、と反論しようとすると透かさず厳しい口調で、
「いい?なのかと仲良くするのは別に構わないよ。でも、私たちがするべき事は守って。もう一度言うけど、これは私たち以外の人には口外禁止だからね」
「なのかちゃんっていい人そうじゃない」
「そう見えてもダメ。それにニュースでも言っているでしょ。ここ一、二年で東地区から脱獄者が相次いでいるって。なのかが仮にその脱獄者だったらどうするの?」
 そうには見えないけどな……って思った。
 そもそも、中央地区から来たって言ってたし。

 なのかが帰った後、パーティーの後片付けをしないままのテーブルに集められた。
 留恵のみ立ち上がり、
「最初の議題として鬼ごっこ大会の参加理由を確認したい。それは『キャパ』を守ること。そのための資金調達。これは大丈夫だよね」
 これに皆うなずく。
「次に作戦。今まで話し合った中で、最良と思われる二パターンを試したい」
「それを数日後、事前練習も兼ねて試そうと思っている」と、陽介。

 ある日の深夜。
「AパターンとBパターン、両方試す。どっちも共通して鬼に捕まりそうになったら、瞬間移動で逃げる。それを夏実ちゃんにやってもらいます」
 突然の抜てきで驚く夏実。
「だってハンデ三回もらえるの夏実ちゃんだけだと思うよ。その分残る可能性が高いし」
 暗い表情をする夏実の肩を留恵がたたき、
「一回くらい捕まってもいいって。その方が怪しまれにくいし」

 事前練習に向けて準備が整う。
「最初にAパターンで、畑の向こうにあるウチの物置小屋に行く。その一分後にBパターンで戻ってくる。夏実ちゃん、理解した?」
 すると由樹が、
「Aの方って安定していないんでしょ?」
「だから確実なBパターンで戻ってくる。もしだれかに見られたら、夏実ちゃんが自力で一分以内に振り切って」
「責任重大……」
 と、浮かない表情だった。
「大丈夫だよ。なんとかなるよ」
 ナナが励ます。
「じゃあ、がんばってきて」
 と、陽介から夏実へエールと一緒にあるものを渡す。
 夏実はそれをしっかり抱きしめ、そっと話しかける。
 そして、夏実は消えていった。

 夏実が着いたところは、どこかの部屋。
 しかも、見たことがない。
 その上、着地の際だれかを押しつぶした感じがした。
 それがベットで寝ていたなのかと気づき、すぐに降りた。
 なのかがこっちを見ている。
 夏実は説明しようと思ったが、留恵に言われたことを思い出す。
 言葉を発することができず、なのかを見たまま黙ってしまう。
 でも、このままだと約束の時間が来てしまう。
「ごめんね」と言い残し、慌てて出口を捜す。
 1DKの部屋だったので、すぐに玄関を見つけ、外に出る。
「一分以内に離れなきゃ……。お願い、ついてこないで!」
 夏実は、なのかがついてきて、見られないことだけを思い続けて走った。

 一分後、夏実は留恵たちのもとに無事帰ってきた。
「やっぱりAパターンはダメ。なのかちゃんの家に行っちゃった。でも、戻ってくるところは見られてないと思う」
 夏実の話に、動揺が走る。
「なのかの方は、向こうが触れてきたらうまくごまかそう」
 と、留恵がなだめた。
 その後、更に話し合いが進められ、Bパターンを基盤とした作戦ができた。