Last Kitten Heart friends

「どういう状況か、分からないけど健闘したと思うよ」
「あと二時間まで残っていたなんて優秀だよ」
 スタート時の広場に戻ってくると、陽介と由樹が出迎えてくれた。
 大会の状況はだれが捕まったとか、その程度だがスピーカーから流れてくる。
 それを聞いたのだろう。
「夏実ちゃんと留恵さんは?」
「大丈夫。まだ残っているよ」
 陽介の回答には自信が込められているように感じ取れた。
 おそらくこの二人も“作戦”を知っているはず。
 夏実が濁したくらいだ。多分、この二人に聞いても答えてくれないだろう。
 なのかは、瞬間移動のことが気になって仕方がなかった。
 だって、何度も目の前にすれば興味を持たずにいられなかった。

 スピーカーからそう遠くない芝生の上で、寝そべっていることにした。
 こういう光景は、この公園ではよく見かける。
 なのかが家から持ってきた本を読んでいると、陽介がペットボトルのお茶とお菓子を差し出してきた。
 断ろうと思ったが、二人のまわりには開封済みのお菓子だらけだった。
「朝から、食べているの……?」
「だって、することがないんだよ。帰るにもあっち方面はバスが二本だけだし、外から参加者を手出しするなんで大問題だし」
 なのかは遠慮なく食べることにした。
「よかったら、自家製弁当もあるよ」と、由樹。
 結局、お昼は食べずじまいだった。
「おかずのほとんどは、ウチで栽培したやつ。中央地区の有名レストランで好評の品です」
 と、自慢げな陽介。
「食べていいの?」
「あの二人は中で食べたと思うよ。そういうプランになっているし」
 そういえば、夏実が迎賓館からお弁当を持ち出していた。
 でも、二、三人前はあった。
 留恵一人分にしては量が多い。
 ほかのだれかにもあげていたのか?

 日もだいぶ落ちてきた残り十分。スピーカーのまわりには、人が集まる。
「残り三十分前には三名残っていましたが、現在残っているのは二名。エントリーナンバー七十三番の夏実さん。同じく七十四番の留恵さんです」
 すると、なのかの横で三人組が、騒ぎ出した。
「あれ? どっかで聞いたことがある名前じゃない?」
「そうだ。確か、どっかで」
「結構昔だから思い出せねえ」
 それを聞いたのか、さっきまでいた陽介と由樹がいなくなっていた。
 十分後、ナナを探しにいっていたと話していたが、なのかは追及することはしなかった。
 瞬間移動のことも答えてくれないくらいだ。
 それにも答えてくれないだろう。
 瞬間移動のこととか、聞きたいことはあるが、これ以上はやめよう。
 だって、人には触れられたくないことがある。
 東地区であったこと、そして今置かれている状況。
 彼らには話せない。その時が来るまでは。
 夏実たちと合流し、喜び合う彼らの姿を夕日と共にぼんやり見つめていた。