Last Kitten Heart friends

 なのかは、兵士さんからもらったイチゴケーキを食べて機嫌がよかった。
 ずっとつらかった。
 東地区脱出後、自分の希望で南地区に来たとはいえ、不慣れな土地。
 夏実たちと出会えて、なにかと教えてもらっても不安が多い。
 それに、いつ追っ手がやってくるか。
 なによりも、常に一人だったこと。
 久しぶりに再会し、自分のつらさを理解してくれるからこそ、言えるわがまま。
 そうやって甘えられた兵士さんがいて、気持ちが救われた。
 この瞬間が心地よくリラックスできた。
「途中まで南地区の子と一緒だったと言っていたが、どんな子?」
「女の子二人と、男の子二人のちょっと変わった子たち。あと猫もいる。一緒に来たのは二人だけど。でも、自然を守ろうと一生懸命なの。それに……」
 そうだ、キャパのことは言っちゃいけないんだと思いだし、言いかけてやめた。
「しかし、子ども四人だけ?」
 彼らに出会って数ヶ月。
 一度も大人の存在を見なかったし、そういう話もなかった。
 彼ら四人は少なくとも兄弟には見えない。
 どういう関係で集まって、集落から離れて暮らして畑仕事をしているのか。
 キャパのことといい、都合の悪いことはやはり話してくれないみたいだ。

「そろそろ時間だ。解散しよう」
 二人は立ち上がり、リビングルームから廊下を通り、書斎部屋に入る。
 部屋の中には壁一面に本棚が並んでいる。
 その内の一つが隠し扉になっており、そこをくぐると改造して作った階段があり、下の階の部屋に行ける。
 こういったことをいくつか繰り返して、上に下に移動すると三階にある別部屋の玄関に出る。
 兵士さんもここまでついてくれた。
 なのかはドアノブに手をかけようとしたが、やめて振り返った。
「……お願いがあるの。……死なないで」
 兵士さんはにこやかに笑い、「大丈夫。死んだりしないよ」
 なんでこんなことを言ったのだろう。
 言った自分に対し、責めたくなった。
 しばらく会えなくなるから? よく分からないけど、言いたかった。
「なのかも、気をつけろよ」
 “王女さん”という呼び名ではなく、本名で呼んできた。
 うんとうなずいて外に出る。

 なのかは駅には向かわず、中心街を目指す。
 留恵に聞いたら、帰りもだいたい同じ列車になりそうだった。
 喫茶店で待ち合わせることにしてある。
 帰りもその方がなにかと安心だし。
 しかし、大通りを歩く同じ服装をした男たちを見て、慌てて狭いビルの谷間に逃げ込む。
 一気になのかの心拍数が上がる。
「あれは東地区の政府軍。私たちを探しに来たんだ」