Last Kitten Heart friends

 なのかがマンションを去って十分後。
 ひとり部屋で、今後の戦略構想を練っていた。
 すると、ドアをノックする音がした。
 最初は、なのかが戻ってきたものだと思ったが、どこか様子がおかしい。
 “兵士さん”はドアを三回たたく。
 仲間内で決められている確認方法で、本当になのかなら奇数回たたいたときは、その倍数たたき返してくるはずだ。
 でも、返ってきたのは二回。
 次に二回たたいてみる。
 偶数回のときは、その半分をたたいてくるはずだ。
 また、二回返ってきた。
 このドアの部屋に来るのはメンバーだけ。
 大家さんとかは、別の部屋から来るはず。
 でないとすると……。
「くそっ。バレた」
 玄関のゲタ箱の上に置かれたスイッチを押して、猛ダッシュでバルコニーに出て、隣のビルに飛び移ろうとした。
 それと同時に部屋は大爆発を起こした。

 地上に降り立ち、出来るだけ駅とは逆方向に逃げた。
 今日に限って、なのかがいる。
 巻き込むわけにはいかない。
 こんなことになるのだったら、なのかが小さかったときに、護身術かなにか教えておくべきだった。
 なにもかも失策だった。
 後ろから政府軍が大勢やってくる。
 なんとかして振り切らなくては。
 前方からも多数軍兵がやってくる。
 右に曲がり、回避しようとしたが行き止まりだ。
 後ろを振り返ると、道路いっぱいにまで広がっている軍兵の中からエラソーな男がやってきた。
「よくもマンションに行った軍兵たちを……」
 東地区政府軍のトップ、総司令官だ。この男が、なぜ。
「君にひとつ聞きたいことがある。クローバーのキングは、今どこにいる?」
「ここにはいないよ」
「では、どこだ」
「……東地区」
「ウソつけ!」と、“兵士さん”をけり飛ばす。
 塀にたたきつけられ、その場に倒れた。
「我々は区内すべて探し回っている。ここではないというなら、“西”と“南”どっちだ」
 西と言うわけにはいかない。かといって南と言えばなのかが巻き込まれる。
 そして、どちらを選んでも一般人が巻き込まれる。
「お前らは、どうしたいんだ。なにが望みだ」
「全区再統一だ。君の知っての通り五つの地区は元々ひとつの国だった。東西南北それぞれの四人の王と、それをすべて取りまとめるひとりの大王。だが、ある代の大王が独断で王権制を廃止。五つの地区に分かれた。それを元に戻そうではないか」
「分かってないな……。大発展を遂げた中央地区が、そんなことをするわけがないだろう」
「だから、我々の手で実行するのだ。今では中央地区に負けない近未来的国家だ」
「その近未来都市を造ったのは、だれだと思っているんだよ」
「建設したのは、我々だ」
 言わせたかったフレーズがあったが、確かに……と思った。
「しかし、南地区はすごいな……。王権制廃止になって、いち早く民主制に切り替え、住んでいた城を公園にしたわけだから」
「なにが言いたい」
「人民のことを考えたか……。それはこっちも、お前らも」
 総司令官は銃を向ける。
「こうなったのは自業自得と反省するんだな」
 “兵士さん”は右手をそっとズボンのポッケにのばす。
「そろそろ我々の質問に答えてもらおう。クローバー(三つ葉会)のキング(王様さん)は今どこだ! なあ、ジャック(兵士さん)君」
 ポケットに入れておいた装置にスイッチを入れると、辺りは煙幕に包まれる。
 そのスキに脱出を計った。