Last Kitten Heart friends

 広い自分たちの農園から、園芸用のスコップ片手にミミズを三匹探し回っていた。
 これが見つかるかどうかが、留恵たちを助けるカギとなる。
 夏実たちは、晴れ空のもと動き続けた。

 中央地区にいる留恵たちは、それとは対照的だった。
 中央地区政府軍が、攻勢に出たからだ。
 住民は安全なところに避難しているとはいえ、この銃声、爆発音。ただごとではない。
 留恵たちは、この爆発音を間近で見ていた。
 なのかを探し回った結果、逃げ遅れたのだった。
 ビルとビルのわずかな間に隠れていた。
 両軍の足音が聞こえるだけで、まともな精神状態ではいられなかった。
 もう、南地区には帰れないかもしれない……。
 その上で、希望へとつながる一本の電話を待った。
 そこへ、一台の軍用小型四輪駆動車が近づいてくる。
 東か中央か、どっちのものか分からなかった。
 どうも何かを探しているらしく、低速で走ってくる。
 二人は見つからないように、さらに奥に入っていった。
 呼吸する息ですら、緊張感がまとわりついていた。
 突然、モバイルフォンが鳴り出す。
 慌てて陽介が出ようとしたが、間違って切ってしまった。
 車は気づかなかったのか、そのまま走り去っていった。
 一番の危機を乗り越えて、二人はひと息吐く。
「だれから?」
「自宅……。夏実ちゃんかな?」
 まずは、かけ直してみた。
 予想通り、夏実が出てくれた。
「ごめん。間違って切っちゃって。ところで見つかった?」
「うん。ミミズ三匹」
 ミミズ……? また夏実がボケて、ネズミがミミズになったと思った。
 受話口を抑えて、留恵を見つめる。
「留恵ちゃん、ネズミって言ったんだよね。ミミズになっているんだけど」
 それを聞いた留恵は、あきれた顔で、「とにかく説得して」と、迫る。
「なのかのことなんだけど……その……。今、状況が悪すぎて探し出せないんだ。だから……その……。なのかも中央地区のことは出身地だからよく知っていると思うから、つまり……。今回のことはあきらめてくれない?」
 わずかな間だった。
「嫌! 探してきて!」
 ひとこと残して、一方的に切られてしまった。
「押し切られてしまいました」と、留恵に軽く謝る。
 すると、陽介の情けなさと、夏実のワガママに頭にきて、モバイルフォンを奪い取るとすぐさま自宅にかける。
 夏実が再度出たが、そこは冷静だった。
「由樹ちゃんに代わって。話したいことがあるの」
 素直に代わってくれた。
 由樹が出ると、一気に急変した。
「夏実ちゃんは無視してキャパに入れ替えるように言って!  それしかないの!  あとのことはどうにでもなるから!!」
 必死だった。これが通らなければ終わってしまう。
 それは由樹にも伝わったが、戸惑った。
 夏実のほうをチラ見する。いつもの、にこやかな顔だった。
「……わかった」と、電話を切った。
 即座に受話器を置くと、一心不乱にソファーでくつろぐキャパを抱き上げる。
 ネコみたいな耳元に向かって小声で話す。
「ミミズ二匹と、留恵ちゃんたち二人を入れ替えて」
 声は聞こえなかったはずだが、やはり由樹の行動に夏実は気がついた。