Last Kitten Heart friends

 東地区政府軍の司令本部が集まるテントに、第三部隊の隊長が軍用小型四輪駆動車で戻ってきた。
 後部座席には、厚い布生地に包まれた何かを載せていた。
 報告を早々と済ませると、それを受けて幹部たちが乗ってきた車を取り囲む。
「顔はつぶれいていますが、間違いなくクローバーのジャックです」
 後部座席にかけられた布をはぎ取ると、赤く染まった人が表した。
 あまりの生々しさに、目を背ける者もいた。
 隊長が再び布で隠していると、総司令官が声をかけてきた。
「よくぞやった。これで区長にも、よい報告ができる」
 すると、すぐそばでミサイルが落下する。——中央地区のやつだ。
「このままでは、ミイラ取りがミイラになってしまう。全隊撤退!」

 一方、なのかはもう一つの隠れ家にたどり着いた。
 その家の前で、一人の男がなのかを来るのを待ち構えていた。
 なのかが、その姿を確認すると駆け出し、その男の胸へと飛び込む。
 会いたかった!!
 なのかをしっかり抱きしめてあげると、モバイルフォンを取り出しどこかへ連絡を入れる。
「もっしー! こっちは無事に着けたっすよ。そっちは?」
 なにやら、いい答えが聞けたらしく笑顔だ。
「いろいろありがと。しばらくは西地区にいますよ。……あと、よかったら今度メシにでも——」
 そこまで言うと、切られてしまった。
 軽くため息を吐く。
「いきましょうか」
 差し出した手を、なのかはしっかりと握りしめた。

 キャパのお陰で、無事に南地区の自宅リビングに帰ってこれた。
「死ぬかと思った……」
 その場に寝ころんで、天井を見上げる。
 さっきまでのことが、ウソのようだった。
 しかし、場の雰囲気とは違う表情を見せる子が一人いた。
 右手を強く握りしめ、留恵に近づく。
「夏実ちゃん、おみやげ」
 にこやかに留恵が、ショッピングバッグを渡す。
 受け取ったと思いきや、力いっぱいに留恵の顔めがけて、
「いらない!!」と、叫んで投げ返す。
 そして、見事に当たって倒れた留恵のおなかをわざと踏んで、二階の自室に行ってしまった。
 心配そうに留恵を見つめる、陽介と由樹。
 それに気づいた留恵は起き上がり、「どうすればよかったの」と、言い返す。
 この案を最初に言い出した陽介でもなく、実際にキャパに指示した由樹でもなく、なんで私なのと不服そうだった。
 陽介が立ち上がると、すかさず留恵が陽介の右手首をつかんだ。
「夏実ちゃんだったら、そのままにしてあげて」
「でも……」
「おなかがすいたら下りてくるよ。それにいったでしょ、どうにでもなるからって……」
 その言葉に、自信が感じられなかった。
「由樹ちゃん。また近いうちに西地区に行くから、その時は留守番お願いね」
「それまでに夏実ちゃんって、大丈夫だよね」
 留恵は、その質問には答えてくれなかった。