Last Kitten Heart friends

 南駅からみて北側。
 ちょうど、南駅前大森林公園とは線路を挟んだ反対側。
 この辺は、個人経営の店が集まる商店街を見ることができる。
 そこをさらに北に行くと、焼け跡が残る広い空き地がある。
 火事があってから数年は経過していて、何かの建物の土台は残っていた。
 あとは好き放題に伸びきった草花が、風で揺れる。
 その音は、なにか哀愁を感じさせた。
 数十分前の話が気になって、ここを訪れた。

 それは、一ヶ月ぶりに南地区に帰ってきた時のことだ。
 なのかと“達人さん”一緒に、駅北口からちょっと歩いた商店街の喫茶店に入った。
 ちょっとレトロで、いい雰囲気の店だった。
 向かい合うように席に着くと、今後について打ち合わせをした。
 でも、二人っきりのデートを思い浮かべるようで、なのかはうれしかった。
「“王女さん”。この間の作戦会議通りに、やりますから」
「大丈夫なの……?」
「大丈夫っす。先輩の分まで、がんばりますから」
 なのかは、“達人さん”の笑顔に気持ちが救われた。
 一ヶ月間、活動に付き合わされて、不安の毎日にだった。
 でも、そばにいてくれて、精神的に救われた。
 しかし、二人でいられるのも、ほんの少しだけ。
 また、一人だけになってしまう。そんなの嫌だよ。
 かといって一緒にいたら、今度こそ危険なことを、あの人に頼まれそうだし。
 複雑だな……。
 そこへ、注文の品を持ってきた店主が、気さくにも話しかけてきた。
「お客さん。ウチ初めて? この辺じゃあ、見かけない顔だね」
「うん、まあ……。西地区から来たんすよ」
 私たちは、“中央地区”と言ったり、“西地区”と言ったりで忙しい。
「西地区じゃあ大変だろう。強盗団が暴れ回っていて」
「あんなガキの集まり、大したことないっす。自分が本気を出せば、赤ん坊同然っすよ」
 その答えに、店主は苦笑いをする。
「機動部隊でも手が出ないから、それは頼もしいな。だが、知っているかな。幹部クラスの人間は、南地区で起きた大事件の主犯格だということを……」
「その事件って何……?」
 なのかは、身を乗り出して聞いてきた。
「すぐ近くにあった児童福祉施設で起きた放火事件」
「放火?」
「当時の新聞にも載ったが、今じゃ忘れかけられている。そこで預けられていた一部の子どもが起こしたんだよ」
「その理由って……」

 西地区に戻る“達人さん”と別れたあと、焼け跡が残る広い空き地に立ち寄った。
 すべてを聞かされて、衝撃を受けた。
 自分と同世代の人たちがそんなことを……。
 ほかに方法はなかったのだろうか。
 でも、自分たちがしていることと何が違うのだろうか。
 もしかしたら、変わりがないかもしれない。
 複雑な思いを胸にのせたまま、帰りのバスに乗っていった。