Last Kitten Heart friends

 セラの部屋に戻ってきた。朝より元気がなく。
 留恵がリビングのソファーに座ると、相変わらずため息をつく。
 あまりにも頻繁につくので、留恵の口元に風車を置いたら発電できるのじゃないかと思うくらい定期的に出す。
 セラのほうは、お気に入りの『ぬいぐるみ』を横に置いて雑誌を読みあさる。
「夜も遅くなってきたからお風呂に入って、寝よっと」
 さすがに『ぬいぐるみ』は連れて行かず、留恵のもとに一旦預けられる。
 このスキに留恵に話しかけた。
「留恵ちゃん、本部に何言われたの?」
 返事にも似たため息を返し、かなり深刻な表情を浮かべる。
「私、やっぱり先に寝る」「お風呂は?」
 首を二回横に振り、部屋の奥に消えていく。
 確かにあの状態で入ったら、三分を大幅に過ぎたカップラーメンみたいになりそうだし。

 朝食はセラに連れられて、駅近くのおしゃれなカフェに入る。
 昨日、付き合わされて見た雑誌に載っていた気がする。
 留恵の突風は減ったものの、西地区の潮風に紛れて吹き荒れる。
 落ち着いたBGMが流れ、木の柱をあえて見せてぬくもりを感じされる店内になっていた。
 ほとんどが二、三人のグループ客ばかりだ。
 一人ではこの辺を歩き回る者なんていないから、当然だ。
 雑誌に取り上げられるのもうなずけ、メニューも豊富でどれもおいしそうであった。
 トーストやパンケーキと一緒にお茶をオーダーする。
 一口かじる。南地区で食べるものと大きくは変わらない。
 小麦は南地区以外では作られていないので、差が出るとしたら、作り方だ。
 そう考えると、食糧事情は南地区の影響は大きい。
 普段より食べる速度が遅い留恵。注文したものがラーメンじゃなくてよかった。
「留恵さん、本部に何言われたの?」
 昨日の陽介と同じことを聞く。
 答えないので追及していく。
「なにか大切なものを取られた? お金? それとも家か土地?」
 今までの沈黙をついに破る。
「……夏実ちゃん」
 その時ちょうどBGMが曲と曲の間で、静けさが包み込む。
 再び和やかな曲が流れるが、ここは穏やかではなかった。
「それ……本当?」聞いてきた陽介のほうを向いてうなずく。
 先月から留恵のところで発達していた低気圧が、陽介のほうまで伸びていった。
「まだ、大丈夫。次やったら……だから」
 暗い雲が漂っている中、これを吹き飛ばそうとする存在が現れる。
「でも、今すぐ取られるわけじゃないんでしょ。大丈夫!」
 明るい日差しのようにセラが放つ。
 この高気圧女が。空気読めよ。
 留恵は軽くため息をつくが、おかげで少しは落ち着いてきた。
「ねえ、せっかくだから遊びに行かない?」
 セラの一言に、また留恵の顔が曇る。