Last Kitten Heart friends

「留恵ちゃん!」「え!? なに?」「ごはん、冷めるよ」
 テーブルの上に広がる、色鮮やかな食事をさして言う。
「うん……。分かっている」
 一口食べるが、どこか遠くを見ているかのよう。
 セラは陽介の横で、にやけながら留恵を見つめている。
「留恵さんの白馬の王子様って、どんな人?」
「え? そんなんじゃないよ!」明らかに動揺している。
「留恵ちゃん、顔……赤いよ。風邪?」
「私が診てあげる」
 そう言うと留恵に近づき、抵抗されたが額を合わせる。一応、平熱だ。
 わざと深刻そうな面立ちで、陽介の横に座る。
「留恵さんは……病気です。『私、あの人に会わないと死んじゃう病』です」
 それを聞いた留恵は「どの人だよ!」と、テーブルの向こうへ反論する。
 すると、セラは立ち上がり含み笑いを抑えながら、「逆に……どの人?」と、じっと留恵を見つめる。
「知らないわよ」席を立つ。
「名前も知らない人を、好きになったの?」「そっちの知らないじゃない!」
 部屋の奥へ逃げようとする留恵を、セラが追いかけ回す。
 どうやら新しいオモチャを見つけたらしく、前のオモチャは忘れ去られたのかほったらかしだ。

「大丈夫っすよ。計画通りにやりますよ」
 駅前広場からある場所を目指しながら、モバイルフォンで“王様さん”と話す姿があった。
『あまり派手にやるな』
「朝日が出るまでには片付けますよ」
『それと、こっちも準備を始める』
「北地区っすか。あそこはなにもないけど、いいところっすよ」
『お前が言うと、不安になってくる』
 話しているうちに、五階建てのビルの前に着く。
「片付いたら、また連絡しますよ」
 モバイルフォンをしまうと、表情を変え建物内に入っていく。
 中は受付室みたいになっていたが、一心不乱に奥へと突き進む。
 そこへ警備員の男が、呼び止めにやってくる。
「おい! どこへ行くつもりだ」
 だが、目の前にいたはずの不審者が、いつの間にか後ろのエレベーターホールを歩いていた。
 受付室とホールをつなぐ入り口は、大人一人が両腕を広げた程度の幅しかない。
 そこで待ち構えていたのに、なぜなんだ。
 あとを追いかけると、ホール奥にある事務室から出てきた。
「やっぱ、一階ずつやらないとダメか」
 事務室の中をのぞいてみると、部屋は荒らされ、みな気絶していた。
「貴様! 何者なんだ!」拳銃を不審者に向ける。
「ガキが、そんな危ないものを持つな」
 一瞬にして拳銃を奪い取ると、警備員は気絶して倒れる。
 発砲される事のなかった拳銃から、弾薬を抜き取るとあたりに投げ捨てた。
 事務室から、いくつか資料をつかんできた。
 この会社の表向きの名前が書かれた表紙を開くと、多種多様な数字が踊っていた。
 “兵士さん”の作成資料と合わせて見ると、すごい事になっている。
 確かに乗っ取れば、カーニバル状態だ。
 そして、エレベーターには乗らず、横にあった階段から上へと目指す。
「さあ、お仕置きの時間だよ」