Last Kitten Heart friends

 結局、南地区の自宅に戻ってきたのは夜遅くになってしまった。
 留恵は行きと同じで、ため息ばかりだ。悩みの中身は変わってしまったが。
 自宅も近くなると、キャパの森も見えてくる。
「こんな所に、有刺鉄線なんてあったっけ?」それは、森を囲むように張りめぐらせていた。
 留恵に聞こうかと思ったが、そんな雰囲気じゃないし。
 久しぶりに戻る我が家。とりあえず荷物は玄関先に置き去りにして、明かりがまだついているリビングに入ってみた。
 すると、夏実と由樹が楽しそうに会話をしていた。
「おかえり」
 しかし、後ろから入ってきた留恵を見た瞬間、夏実の態度が変わった。
 しばらくは同室のソファーに対角線に座ってくれたが、なにかを言いたそうでなかなか話してくれなかった。
 留恵はうなだれて、夏実はおろか対面の由樹とも目を合わそうとしない。
「私……やっぱり寝るね」
 留恵はどんよりした足取りで自室に向かった。夏実は心配そうなまなざしで見ていたが、言葉を発することはなかった。
 三人ともしゃべらず、なぜか空気が重たい。
「私……も、寝るね」
 夏実がやっと話してくれたと思った言葉がそれ? 確かに遅い時間だけど。
 そして、リビングに残ったのは陽介と由樹だけになった。
「留恵ちゃん……どうしたの」「そっちこそ、夏実ちゃんまだあの調子?」
 やっと会話らしくなってきた。
「機嫌は直ったはずなんだけど……。そうそう、なのかが戻ってきた!」「え? そうなの」どうやって中央地区から戻ってきたんだろう。
「キレた手前、謝りづらいんじゃないかな……。で、留恵ちゃんは?」
「うん……。恋の病ってヤツ?」「うそ!」かなりの驚きで、食いついてきた。
「相手はどこの誰だか分からないけど、セラはそうなんじゃないかって」「あの留恵ちゃんが……」
「でも、片思いっぽいよ。西地区にいるときは平常心だったのに、列車に乗って離れて行くに従って様子がおかしくなってきた。それでバス停に着いたときにはアレ」
 別の意味で、帰れなくなるんじゃないかと思った。
 由樹が近寄ってきて小声で話す。「ねえ、本部が乗っ取られたって本当?」
「そう。それで引き返してきた。南支部はどうするって?」
「本部とは関わり合いを切って、今まで通りやるって」
 そんなことで大丈夫なのか。そしてこの先。