Last Kitten Heart friends

 由樹との深夜の密会。家のまわりは畑に囲まれて静かすぎる。山が近くにあるわけではないので遠ぼえらしきものも聞こえない。
 月明かりに照らされて、ほんのりと窓の向こうが光っていた。
 家の中でもリビングルームを除けばそうだ。二階は夏実と留恵の部屋があり、二人とも寝てしまったのだろう。物音がまれに響いてくるくらい。
 一階は自分と由樹の部屋があり、当の本人はここにいるわけだ。
「でも、本部と手を切れてよかったんじゃない?」
「まあ、そうだろうな……」留恵もかなり悩んでいたし。
 そもそも本部に保護してもらえる分、見返りとして作物を渡し、裏ルートで本部が売りさばいていた。この収入が本部の運営資金として支えていた。細かい工作活動も含めたら膨大なものになっていた。それがクローバーに取られてしまったのだ。
 一方的に不利だったクローバーが戦力アップするのはわかりきったことだ。そうなるとかつて東地区で起きた事件の再来が——。
「とりあえず、家の問題を片付けよう」もちろん、あの二人だ。
「そう言われても、留恵ちゃんの状態をどうにか出来るの?」
 恋の病だしな……。相手がまず分からないし、片思いかどうかも分からない。どのくらい進展しているのか、そもそも失恋してしまっているのか——。手の打ちようがない。
「それは本人が口にするまで、そっとしておこう」それは時間が解決してくれるという名の下に放置する言い訳だ。
「そうだよね……。下手になんかしたら怒りそうだし」
「実際、怒るよ」
 留恵を西地区に長期滞在させてもよかったのに、本人は帰宅を選んだ。恋より家族みたいな僕たちを取ったのか……。
「せめて、夏実ちゃんをどうにかしないと雰囲気が悪くなる」
「機嫌は直っているはずなんだけどね……。やっぱり謝りづらいじゃないのかな」
 物を投げて当たったくらいだし、結果論かもしれないが留恵がああなった一因でもある。
「それとなく二人っきりにするとか?」
「どうやって? 二人とも部屋に籠もりっきりだよ」これは水と油を混ざるより難しいぞ。だって、別々の容器に入っている液体を移し替えずに混ぜるわけだし。
「でも、トイレとかの時出てくるから、部屋に戻れないようにするとか」
「かなり大胆な作戦だね」二人同時には出てこないだろう。どっちかを長時間出し続けるのも難しいし。
「大体に二人っきりになったら謝ってくれるのかな……?」
「私の事なんてほっといてよ!!」突然、リビングのドアが開いたと思ったら、夏実が大声で叫んできた。
 そして、それを捨てゼリフにして、部屋に戻っていった。
「夏実ちゃん……いつから聞いていたんだろう」二人とも全く気がつかなかった。