Last Kitten Heart friends

 僕たちにとって……いや、全地区にとって衝撃的な事件が起きた。
 東地区には『革命軍』と名乗っていた集団が政府と内乱を起こしていた。それは平和な南地区にいてもよく耳にしていた。革命軍とは元々は地下鉱脈で働いていた人々。故に『天地の争い』と呼ばれていた。この争いは今なお続くことになるが五年前に大きな節目を迎える。それは当時の区長が暗殺されたのだ。このクーデターによって政権は革命軍に移り、前政府の『三つ葉会』メンバーは次々と処刑。三つ葉会残党こそが現東地区政府が追いかける『クローバー』になる。
「留恵ちゃん、大変なことになるね……」
 児童福祉施設内に共有スペースがある。そこにあった新聞を一冊自室へと頂いてきた。けど本来は部屋から出してはいけない。とてもキレイな共有スペースではなく、物は雑然と置いてありどこに何があるか分かったものじゃない。新聞だって何冊かあるし、一冊なくなったところで誰が気付くのだろうか。
「そうよね……」
 誰かが読んだのか、それとも遊んでそうなったのか、痛みの激しい新聞紙から留恵は目を離そうとしない。
「でも東地区ってクーデターを起こすほど貧困だった?」
「工業で成り立っているし、違うんじゃない」
 留恵は新聞紙を目で更に痛めつけようとしていた。
 由樹はこのニュースを気にしていたが、会話には混ざってこなかった。ベッドの上でただ寝そべって天井を見つめていた。
「やっぱり世界って変わってしまうのかな……?」
「あれほどの事件が起きればね……。そうなっていくんじゃないの」
 こう思う人々は世間では半数程度。残りは東地区内の出来事と割り切ってしまう考え。
 確かに世界がどんなに変わろうと、この鳥カゴの中は変わらないんだろうな。

 でもそれは違っていた。
「ねえ、陽たん。聞いたウワサなんだけど——」
 Bグループにランクしているセラが話しかけてきた。
「——どうもCグループの一部が革命軍みたいにクーデターを起こすみたいだよ」
「本当?」
まわりに悟られないように小声で話す。BグループはよくCグループの情報が流れてくる。しかしAグループはBグループに仲のよい人がいないとまず入ってこない。いつも階段下に隠れてセラから情報交換をしていた。
「陽たんの班もここから脱出する準備くらいしておいた方がいいかも」
 このことを留恵と由樹にも話した。
「それでどうする。便乗して一緒に逃げる?」
「断ったらどうなるのよ」
「『陽たんと二人っきりの愛の逃避行しよう』だって」
「あのアホ女め……。Cグループからは?」
「特にない」
「あんまりCグループと関わりたくないんだよな」
 もし、失敗したときの罰を考えると恐ろしいことになることと、過去にCグループに関わって良い思いをしたことがない。
「でも準備だけはしておこう。あの事件をまねるところが気になる」

 数日後、Cグループによる大規模な犯行が行われた。翌日、平和な南地区で起きた事件が新聞の一面を飾った。